今日も無職透明です!よろしくお願いします!
みなさま、2021年TBSで放送された「俺の家の話」ご覧になりましたか?
アントニオ猪木さんがお亡くなりになられた事もあり、涙腺崩壊したので、感想をまとめます!
出演 & スタッフ
観山 寿一 … 長瀬 智也
志田 さくら … 戸田 恵梨香
観山 踊介 … 永山 絢斗
長田 舞 … 江口 のりこ
プリティ原 … 井之脇 海
長田 大州 … 道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)
観山 秀生 … 羽村 仁成(ジャニーズJr.)
スーパー多摩自マン … 勝村 周一朗
長州 力… 長州 力(本人)
末広 涼一 … 荒川 良々
堀 コタツ … 三宅 弘城
ユカ … 平岩 紙
O.S.Dオーエスディー … 秋山 竜次
観山 寿限無 … 桐谷 健太
観山 寿三郎 … 西田 敏行
(クドカンお馴染みの佐藤隆太、塚本高史、阿部サダヲなんかも出てきますよ。)
脚本 …宮藤官九郎
音楽 …河野 伸
チーフプロデューサー …磯山 晶
プロデューサー …勝野逸未
演出 …金子文紀・山室大輔・福田亮介
製作 …TBSスパークル・TBS
(出典:TBS「俺の家の話」公式HPより)
イントロ
主演は長瀬智也、脚本は宮藤官九郎が担当。2人はこれまでTBSのドラマでは『池袋ウエストゲートパーク』(2000年4月期)、『タイガー&ドラゴン』(2005年4月期)、『うぬぼれ刑事』(2010年7月期)でタッグを組んでおり、いずれも大きな話題となった。そして現在に至っても人気が続く作品ばかり。
宮藤が手掛ける作品には毎回、魅力あふれる主人公が登場する。『池袋ウエストゲートパーク』では、通称「ブクロのトラブルシューター」としてギャングのリーダーをはじめ皆が一目を置く存在である一方、仲間の面倒見がよく母親想いの青年・真島誠。『タイガー&ドラゴン』では、“昼は噺家、夜はヤクザ”という二重生活を送る山崎虎児。『うぬぼれ刑事』では、超恋愛体質でポジティブシンキングな独身刑事・うぬぼれというそれぞれ個性的なキャラクターを作り上げ、長瀬はそれらのキャラクターを見事に演じ切った。そんな2人の令和初タッグドラマに期待が高まる。
今回、宮藤が手掛けるオリジナルストーリーで長瀬が演じるのは、ブリザード寿というリングネームで活躍する現役プロレスラーの観山寿一。
かつては大規模プロレス団体に所属する人気レスラーで、プエルトリコチャンピオンまでなったが、ケガや年齢もあり今は小規模な団体で細々と試合に出ている状態。ある日、寿一は父親が危篤だと知らされる。父親の観山寿三郎は、全国に一万人以上の門弟を持つ二十七世観山流宗家にして重要無形文化財「能楽」保持者。いわゆる人間国宝である。
その跡を継ぐと期待されていた寿一だが、寿三郎に反発し家出をしたのが20年以上前。以来、音信不通だった寿一が突然、帰ってきたことに家族たちは驚く。一方、奇跡的に一命を取り留めた寿三郎だが、傍らに立つ介護ヘルパーの志田さくらを家族に紹介し、彼女と婚約して遺産もすべてさくらに譲ると宣言。
実力と人気に限界を感じていた寿一はプロレスラーを引退し、実家に戻り寿三郎の介護を手伝うことに。家族とさくらを巻き込んで、介護と遺産相続を巡る激しいバトルのゴングが鳴り響く‼
生きていたら誰もが経験する「人生の関門」=介護と相続
観山家は少し変わった設定の家族だが、どの家族にもあるような「悩み」を抱えていて、どの家族にもあるような「喜び」を感じて生きている。毎日は世知辛いことばかりだけど、そんな中、肩を寄せ合って生きていくうちに、「人生そんなに捨てたもんじゃねぇな」と思えることがちょっとずつ増えていく。
気が合わないと思って離れていた家族が再び集まって暮らし始めたら、面倒くささと同時に愛おしさが込み上げて来ることに気づく。どこか懐かしいような、それでいてまったく新しい形のホームドラマ『俺の家の話』にご期待ください。
(出典:TBS「俺の家の話」公式HPより)
放送期間
2021年1月22日~3月26日
抑えておきたいポイント
「俺の家の話」を見る前に、知っておくと更に楽しめるポイントをまとめます。
家を継ぐということ
- 日本は長男が家を継ぐのが暗黙のルール。明治時代、華族や士族などお家騒動の混乱を避けるために政府が推奨した長子相続が庶民にも浸透したと言われている。
- 中世フランスでは、王につながる血筋が貴重とされた。それは、努力では得られない、生まれながら選ばれた者という意味らしい。
- 中世フランスにおいて相続には、8世紀後半に記録が残るサリカ法典を発展させ、女王及び女系継承を禁じた。
- 家業を持つ家では、長男以外の兄弟が家業に向いている事が多くあり、それに悩む長男は多い
- 男子には家系を自分の代で絶やしたくないという思いがあるらしい
能楽についてのTip
- 室町時代に観阿弥、世阿弥親子が大成した世界で一番歴史の続く芸能とも言われている
- 秀吉も能を好み、弾き語りの要素を持った能を家臣の前で舞い、その長さに家臣も疲れ切っていたという話もある
- 能楽師に資格はなく、能の家元に生まれなくても、門戸は大きく開かれている
- 能舞台にいる人
- 向かって左に立つのがシテ、主人公
- 右側にワキ
- シテに同行者がつく時は、シテツレ
- ワキに同行者がつく時は、ワキツレ
- 舞台奥には4人の楽器演奏者、囃子方と呼ばれる
- 囃子方の左横にいるのが後見。実はとても重要な役割で、後見の少なくとも一人は、シテに何かあった時に交代できなければならないので、シテと同等以上の力のあるものが務める
- 舞台の右奥に8人並ぶ人は、地謡とよばれる
- 本舞台と役者が出てくる揚幕の間を橋掛かりと呼ぶ
- 橋掛かりは、幽霊であるシテが通る時は異界につながる通路となる
- 入門後シテとワキ、一度決めると変える事ができない
- ワキ=生者、シテ=幽霊(現世のものでない)の場合が多い能の流派
- 物語の1話1話に能の演目がリンクしている
- 最終話の演目は、「隅田川」、息子の幽霊が出てくる
- 観山流のモデルは観世流(観阿弥・世阿弥の親子を祖とする)
(参考:「異界を旅する能 ワキという存在」 安田登著 ちくま文庫)
能の流派は大きく、5流派あるようです。
引用:「能の流派の特徴って?いくつの流派が存在するの?」© 2014-2022 WABI×SABI~日本をもっと身近に~
観世流/宝生流/金春流/金剛流/江戸時代に金剛座から分かれた喜多流
プロレスについてのTip
- 今回のプロレスラーへのオファーは、金子文紀監督直々の指名
- リング名「スーパー世阿弥マシーン」は能の祖である世阿弥がモチーフ
- プロレスは、レスリングを職業化した格闘ショー。打撃や投げ、関節技などあらゆる格闘要素を見せ物として観客を集めて興行する
- ヒーローやヒール(悪役)の役割がある
- ドラマの中には、現役で活躍するプロレスラーが出演している
- 子ども時代の寿一が寿限無に決めているのは長州力の必殺技・サソリ固め
- ブリザード寿の寿固めはアントニオ猪木の必殺技・卍固めを変形させたもの
- 寿一が憧れていたレスラーは、”キングコング”の異名を持つ超大型レスラー『“超獣”ブルーザー・ブロディ』
- ブリザード寿はアメリカでの武者修行の後、プエルトリコへ転戦して膝に大怪我を負う。プエルトリコはプロレスが盛んな国だが、寿一が憧れた『”超獣”ブルーザー・ブロディ』が刺殺された土地としてプロレスファンの記憶に残る。
- 2代目タイガーマスク三沢光晴さんなど、試合中に亡くなったレスラーも少なくない。生と死とのはざまを生きる職業
- 帝王と言われた高山善廣さんは、2017年5月試合中の事故で首から下が動かない全身不随になったが、奇跡の復帰を目指している
(参考:© realsound.jp『俺の家の話』に登場するプロレス要素を解説 “スーパー世阿弥マシン”の元ネタとは?文=大山くまお)
親の介護の問題
- 自分を育ててくれた親の下の世話を、自分がやる気になっても、親が否定する場合がある
- 自分を𠮟りつけた親が、自分の事を自分でできなくなっていく現実を受け止められない
- 親にもプライドがある
- 子どもが介護する事により、収入が絶たれる場合があり貧困に陥る又は、親の年金に頼る事になり、介護する親が無くなった後仕事に復帰できず、亡くなった事を隠す家庭もある
- 親に十分な財産は無い事が多い
- OMTはおむつ(OMuTsu)
後妻業の女
- 資産家の老人をターゲットに遺産目的で結婚詐欺を行う女性を後妻業の女という
コロナ禍の葬式
- 密接、密着する事を避け、家族葬を選ぶ事が思いやりだと受け取られがち
感想
なんだこの作品は!!
めちゃくちゃ良いじゃないかーーー!!『木更津キャッツアイ』ファンの私は、DVDボックスと映画2本のDVDを宝物として持っている。クドカンの描く登場人物は、全員憎めない。テンポや間は心地よく、使われる単語から連想されるイメージに齟齬がない。
クドカンが脚本の作品を全部見た訳ではないけれど、このドラマ、最高傑作じゃないのか?と思ってしまった。
何が私を感動させたかというと、「能」と「プロレス」を対比させた事がお見事だったという点なんですね。能はそもそも生者ワキが、生きていないシテを生かすお話。プロレスは、いつもそこに死がつきまとっている職業。
そして今、コロナによって制限される生活。そこにも見えない生と死がちらついている。私たちは3年に渡り、弱っている。
一話一話、ちゃんと伏線バラマキの回収と、次のバラマキが行われ行く。クドカン作品の他からの回収もあるので、気づくとたまらない。
「能」の演目『隅田川』を使った最終回には号泣だった。親の介護で実家に戻った寿一が、親より先にプロレスの試合で亡くなっていた。認知症もあるし、子どもの死を受け入れたくない寿三郎は、能楽会開始を前に寿一を探し続ける。本番が始まり、寿三郎は地謡として舞台にいるところへ、寿一の幽霊が寿三郎に話しかけ続ける。もう、号泣。能の演目『隅田川』の中にある「息子を亡くした親と亡霊となった息子が現れるというストーリー」がオーバーラップしていくんですよね。
江口のりこさんが言い間違える『シックスセンス』(何度もセックスシンスと言う)も無くなった息子が出てくる映画で、泣きながら、笑わされる。
家を継ぐという重圧と、家出先での成功と失敗、親の介護の現実、親の仕事と自分の仕事の関係、兄弟との関係、隠し子騒動、相続問題、お金の問題、コロナ禍の生活、コロナ禍の葬式、血のつながり、アントニオ猪木の死も相まって、最高に感動させられました。能の演目になぞらえた事も、日本の古典芸能を面白く、かつシリアスに取り上げてくれた事に尊敬しかないです。
まとめ
- クドカン&金子文紀監督&磯山昌さんタッグは最高
- プロレスラーへは、金子文紀監督直々の指名
- いつも死と隣り合わせのプロレスラーへのリスペクトがすごい
- 実在するプロレスラーの必殺技やスタイルがちりばめられている
- 能は生者と幽霊のはなし
- 能は世界で一番古くから続く芸能説あり
- 観山流は観世流がモデルらしい
- 各話能の演目とリンクする
- 勉強になる遺言状とエンディングノートの扱い
- 長子相続の苦悩を描く
- コロナ禍の生き方を問う